5.《ネタバレ》 こういうヤクザ同士の争い、人殺しの映画は私が最も嫌いにするところだ。第一、映画開始早々、犬が加えてきたものを見た途端、嫌な気分になってしまう。人相の悪い親分子分たち、好きになれそうな人物がまったくいない。その中で場違いなキャラの加東大介、社長シリーズのコメディじゃあるまいし・・・。
居酒屋の親父東野英治郎は、不満のはけ口だろうが聞かれもしないことをべらべらしゃべるし、八州周りの役人の目も節穴同然。
三船俊郎はというと、文字通りの高みの見物をしたり、子分たちを簡単に斬り殺して相手側の仕業にしてしまうあくどい用心棒。どっちのヤクザにつくかで両天秤をはかり、双方の殺し合いさせようとする策略家でもある。そのことに気づいたのは仲代達矢の卯之助ただ一人、他の者の馬鹿さ加減にもあきれるが、三船、仲代だけを格好良く目立たせようとする映画陣の目論見もありありと見える。
それで仲代に見破られ瀕死の重傷となって逃げのびた三船俊郎だが、鉄砲を持った相手を簡単にやっつけてしまうのは、あまりにも安っぽい設定だと思う。唯一美しき女房ぬいの司葉子も登場するが、活躍の場すらなく消えてしまったのは残念。
総じて、洋画の「荒野の用心棒」よりはオリジナルだけあってましだが、とても名作に入る映画ではないだろう。