1.《ネタバレ》 どん底に落ちた人生からの再生というのはなかなかよいテーマだったが、映画自体は監督が個人的な趣味で創っているような感じだった。やや観客を置き去りしているように思えるので、日米でコケたのはやむを得ないかもしれない。
また、終始滑り気味な笑い(60Bを行き過ぎて一人怒り狂うドリュー、サムソン等)と、センスはよいのだろうが映像よりも主張し、目立ってしまっている音楽(ムーンリバーやクルマでの旅行の際の音楽はよい)も多少難点だ。
また、人生の再生という主題に対してやや焦点がぼやけてしまっている感が否めない。確かに人生の再生を一つの事柄で表すのは難しいのは分かるが。
父の死を乗り越えようと料理やタップダンス等に精を出しつつ、悲しみに浸るよりもユーモアを忘れない母のスーザンサランドンや、昔の恋人?を忘れられなく、ドリューと同様にどん底にいながら健気に頑張るクレアなどがドリューに与えた影響が多少分かりづらいような気がする。
また、父の遺灰と共に(本当は生きている父と行きたかった)旅行にでて、心が癒されていく様もちょっと端折り過ぎではないか。本当の意味で一人になって自分を見つめ直す旅行であるはずなのだから。前半と中盤にやや無意味に時間を要されたのも痛い。
肝心のクレアとの関係の描き方も「恋人までの距離」のジェシーとセリーヌを見ているようで中々良かったとは思うが、一番中途半端な感じになったような気もする。もっと描くか、もっと描かないかのどちらかではないか。二人のやり取りは電話だけにして、最後に再会するという流れでもよい。
しかし、近くに居た人は泣いていたような感じだったし、終了後に一人か二人ぐらいが拍手していたのでよいと感じる人もいるようだ。