10.《ネタバレ》 犯罪者の弟に対する差別があまりにも露骨でリアリティを損なっている。
もっと特異な犯罪の家族だったとか、家族にも大きな責任があるとかならわからないでもないけど、そういうわけでもないし。
差別はあっても現実には潜在化されるものだが、それをドラマティックにわかりやすくデフォルメしたのが逆効果に感じられる。
それ以外にもいろいろ演出があざとすぎて鼻につく。
また、漫才をお笑いの素人が演じても妙な居心地の悪さを感じるだけ。
主人公を支える由美子のけなげさはすごいんだけど、演じるのがあの沢尻というのが何とも…。
どうしてもアレのイメージが邪魔してしまうし、下手な関西弁も引っかかる。
罪を犯した人間が、どれだけの人を不幸に巻き込んだかを実感するなら、それが罪を償うことにもつながる。
この兄はその点では救いがある。
でも、実際はそんなことができない人間だから悪事に手を染めた犯罪者のほうがはるかに多いのだろう。
凶悪犯罪を犯しながら言葉だけの反省で出所しても賠償金を踏み倒して自分は幸せな家庭を築いているなんてことを聞くと、不幸のどん底に落とされた人達の無念を思ってむなしくなる。