4.《ネタバレ》 昔話・伝承話というのは特定の原作者が居ないだけに、
様々なひとによって継ぎ足され削られる事により表現が曖昧で不親切であったり、
特定の人物一人の思想ではないだけに、得体の知れない空気感が不気味さを感じさせたり
時を経て価値観や表現方法も変わったりで、それらもあって深くは理解出来ない。
その理解できない所を受け取る側が憶測で埋めて行く事で深みを与える部分もあるのだろう。
そんな昔話の想像の部分、監督解釈では「こういう話ですよ」と言うのを映画化した訳ですから
同じような所に情緒的な物を感じる人にとっては、ドンぴしゃではまるだろうが、
そうでない人には全くはまらないと思う。個人的には全くはまらなかった。
今まで語り継がれて来ている、かぐや姫や竹取物語も理解できないが
まだ違和感を感じないのは、荒い故に、自分の解釈で勝手に埋める余地があるからだろう。
30分・・・いや引っ張っても1時間で終わる話を、引き延ばしても正直退屈してしまう。
この映画のオリジナルの部分(捨丸と幼少期からの成長)こそが監督の表現したかった所だろうと思うが、
姫が捨丸と過ごした幼少期の輝いた思い出が心のどこかに引っかかっり、
歳を取ることで汚れていく大人の世界、求婚者や帝に嫌悪感を抱き月に帰りたいと願ってしまう。
それを引き立てる為に、爺さんや帝はより悪者に描かれ、そしてすでに結婚し妻子ある身の捨丸と
心の中?で再会し空を飛び回る演出が人間の世界の業に自らも汚れてしまって居る事を
表現したかったのではないかと想像するがそれが、何とも少し昔にありがちだったストーリー。
いつかどこかで見た話に感じる。若い世代にはある意味新鮮で、またそのような多感な時期を送っている
あるいは送って間もない人は共感できたかもしれないが、若いとは言えない私には何とも
表現しすぎで逆に薄く感じてしまう。これらの話は現代劇に近く、今の時代では
理解出来ないさせない気高さがある、神々しい神秘の存在の従来のかぐや姫の方が自分には合っている。
そういう意味では、今回の作画演出はどこか不気味さのような、得体知れない雰囲気を出す事に
成功していると思える所は素直に凄い。あの空気感を2時間を超える映画で出すのは大変だっただろう。
この話を現代風の絵で描いていたら、もっとストーリーが薄味に感じられる物になって
居たのではないだろうか。