2.《ネタバレ》 うーん、かなり辛口です。残念ながら私にはダメだった。
「許されざる者―全ての者は許されざる者である」……
この極めて重くかつ普遍のテーマを映画という「娯楽」として、観客を気の利いたセリフでクスッとさせたり登場人物の渋さや凄みに魅了させたりしながらズシンと突き付ける、これがオリジナルが名作である所以じゃないのですか?
なのにこのリメイク版では「(誰もが)許されざる者」というテーマはあいまいにされ、その娯楽性も辛気臭くあらかた潰してくれている。
佐藤浩市の署長はジーン・ハックマンの保安官の茶目っけをほとんど持たない悪党以外の何者でもないし、アイヌや女郎のシーンなんてまさに「許されざる者」ではなく「虐げられし者」。
もしオリジナルのような人間の多面性を描きたいのであれば、最下層の人々だからこそむしろしたたかな強さも描くべきでなないのでしょうか。
それが歴史の事実にそぐわないのだとしたら、もっと自由に描ける時代や舞台を探してもいいわけだし。
一見「オリジナルに敬意を表しながら丁寧に作りました」という格好なんだけど、全く別物を撮りたかったってことですよね、この製作者たちは。
その姿勢はクリエイターとしてアッパレです。「たとえいびつでもオリジナルを一点でも突き抜けよう!」そんな気概もなく製作されている、まず話題性(興業性)ありきのリメイク映画たちよりずっといい。
……
結局のところ、出来上がった作品が今回はただ自分のツボにははまらなかっただけってことなんだろうけど、
それでも私はやっぱり言いたい…
重いテーマを重く描いたところで何の芸があるというのでしょう?と。
このリメイクは上質なエンターテイメントを、美しく情感に溢れているけどありきたりな悲劇にしてしまったと、
やはりそう思わずにはいられません。