1.《ネタバレ》 ひと言で言うと「半勃ち映画」。ピッタリくる言葉がそれだったので失礼。
いつになったら面白くなるんだろ?って思いながら見てたら終わっちゃった。面白くなりそうな瞬間っていうのは何度も訪れたのですが、そのたびにブッツリ終わって次に移るって状態。
ブツ切れ感がハンパなくて、悉く「点」。物語の「線」が形成されてないんですよね。それじゃノレません。やっとゴジラが出てきた!と思っても、カメラはさっさとゴジラの前からどっか行っちゃうし。ゴジラ出てる間はゴジラ見せてよ。
その代りに見せられる話もドラマとして成立してなくて。妻を失った父ちゃんのこだわりが成就する瞬間がありましたか? 主人公の行動は「家族に会いたい」という点では一貫してましたが、いちいち怪獣騒ぎに巻き込まれ続け。「人間ドラマと怪獣とは水と油」ってレビューで何度か指摘していますが、無理に絡めようとするとこうなるという見本のような映画で、主人公が度々怪獣の目の前まで飛び出しちゃう無理矢理さ加減はエメリッヒ版を凌ぐ苦笑を生みます。
この映画の登場人物は総じて受動的。状況に追われて仕方なく動いてます。それはゴジラですら。怪獣出たから地球環境ヤバいし退治しないと、みたいな(むしろギャオス退治に出かけるガメラ)。
核の扱いもハンパで困ったもので。ゴジラを反核の象徴とする訳にはいかない事情からか、ゴジラを倒すための水爆実験だったとか、芹沢博士の被曝二世エピソードがただの設定だけで終わってたりとか、核も怪獣も脅威として成立していないんですよね。
日常の中に大きな脅威が紛れ込む事で非日常となる、それが怪獣映画の面白味なんじゃないかと思うのですが、その点、今作は薄味。主人公は怪獣よりも核ミサイルとの追っかけっこに忙しい有様ですし。
あれこれと他の映画を思い出すのはサービスとでも捉えればいいのかな? 金門橋の戦闘は『モンスターVSエイリアン』、音楽はむしろ『クローバーフィールド』、ゴジラ的には『2000ミレニアム』みたい。
元々ゴジラにはそんなに思い入れが無いので、ゴジラはこうでなくちゃ!みたいなのは無いんですが、今回のゴジラ「も」あまりカッコ良くはなかったなぁ。そのフォルムからゴジラと言うよりタッコング思い出しちゃった。
なんか微妙に体温低めな感じの映画、もっと熱い怪獣バトルでひいひい言わせて欲しかったわ。