1.前作「シン・シティ」がもう10年も前の映画であることに驚く。公開時に観て以来再鑑賞は出来ていないが、あの限りなく悪趣味で且つ限りなくスタイリッシュな映画世界のインパクトは今も記憶に新しい。
前作公開の直後から続編の噂は聞いていたがなかなか完成の報を聞かず、そんな噂も忘れかけていた頃に満を持しての今作の公開。勿論、年明けの公開初日に劇場に足を運んだ。
キャストは若干の入れ替わりはあったものの、前作並みの豪華キャストが揃い踏み。ジョセフ・ゴードン=レヴィットやジョシュ・ブローリンら新しいスターの顔ぶれも期待感を加味した。(個人的に最も嬉しかったのは、クリストファー・ロイドがキャスティングされていたこと!)
素地的には前作に勝るとも劣らないものだったけれど、残念ながらそれに伴うべき“インパクト”は無かった。
続編として前作の衝撃を超えることまでは期待していなかったけれど、それにしても魅力が大いに半減していたことは否めない。
その最たる原因の一つは、メインストーリーの推進力の弱さだろう。
今作も前作と同様に、“罪の街”シン・シティを舞台にして、いくつかのエピソードが入り乱れるように描かれている。
ただし、前作はメインストーリーを主演のブルース・ウィリスが持ち前のスター性で引っ張っていたのだけれど、今作についてはその部分が明らかに目劣りしていた。
はっきり言っちゃえば、ヒロインであるジェシカ・アルバにメインストーリーの主人公としての存在感が無かったと言える。そのことが直接的にストーリー展開の推進力の低下に繋がってしまっている。
他のエピソードで、ジョシュ・ブローリンやジョセフ・ゴードン=レヴィット、そして最悪の悪女を演じたエヴァ・グリーン(衣装の殆どは裸体!)らの存在感が流石に強かったことも、より一層にアルバ嬢の弱さを際立たたせてしまっている。
とは言え、今作のクオリティーが前作に対して著しく低いことをジェシカ・アルバ一人のせいにするのはあまりに可哀想だ。
尺そのものは大幅にコンパクトになっているにも関わらず全体的に感じるテンポの悪さや、“色”が増えてスタイリッシュさが低減してしまっている画づくり、そして何と言ってもストーリーそのものの弱さなど、結局は総てを取り仕切るロバート・ロドリゲスの監督力の低下が最も問題だろうと思う。