9.《ネタバレ》 もしかしたらはまってしまう人がいるであろう映画。でも、これは受け入れがたいな・・・
確かに年の差を超えて愛(もしくは恋)を成就する話、それ自体はなんの拒絶も感じないが、これの場合は不倫が絡んでくるからなぁ。確かにただの年の差ドラマであったらつまんないからしょうがないんだろうけどさ。
主人公のキャラクター設定には、なんて言うかどうしても引け目というか敗北感を禁じ得なく、ここで感情移入が出来なかったのが痛い。勝てる要素が一つもないようなキャラをこうやって平気で据えてみたりするあたり、凄い腕力だと思う。
完全無欠な主人公君とその完全無欠な親、彼らをひとまとめに翻弄する完全無欠の40歳の女性も、何となく抗しがたい嫌悪感を覚えてしまう。何でだろう。確かに存在する可能性はあるんだろうけどさ、なんていうか僻みとか劣等感を客に与えてくれるな。イラッとするだろ。
美男二人の結末を対比構造みたいにしたかったんだかよく分かんないけど、ほとんど少女マンガのような結末を実写映画でやってしまうあたり、豪腕だ。理系の学生がなぜ?みたいな部分はお話だから良い。全然気にしない。でも、離婚してそこまで追いかけてくる40歳の女性っていうのは正直無理。受け入れられない。どれだけ好きだったとしても、それは年上の方にやらせちゃったらバランスとか観た後の印象が悪くなるに決まってるような気がするけどなぁ。
でも、何となく、自分にもそういう可能性が残されているんだよ的な、応援歌のような作りでも、それに感化されたり素直に感動する人って必ず居ると思う。はじめから数が出せる作家だからだろうな、こういうマーケティングで構築された巧妙なドラマっていうのはそういう部分があって、そこを不可視にするための手段としての作り込みが意外としっかりしているから、綺麗に見えたり幻想的だったりする。
ハマってしまった人にはその綺麗な、幻想的な部分ていうのはさらにリアリティを持った想像になって楽しめてしまうと思う。かなりの数の人が観て、そういった層がひとかたまりになれば結構な質量を持つに至るんじゃないかと。そういう意味では意外と需要があるのかもしれない。
であるが、私にとっては何から何まで蚊帳の外だった。