1.《ネタバレ》 この映画を見て、正義というもののあり方をつくづく考えました。
確かに、この原作、映画が製作された段階では医療ミス、特に大学病院での医療ミスが隠蔽される傾向があり、それを糾弾するこの作品の立場は正義だったかと思われます。
しかし、この映画で訴えられるような、患者側優位の正義が主流になっていった結果としての現在の状況はどうでしょうか?
医者に対する訴訟が頻発に起こされ、あまつさえ刑事責任さえ問われて医者が留置される事態さえ起こっています。
その結果として産婦人科等の開業医は減少の一途をたどり、また訴訟されることを回避しようとする病院側の意志も相まって、救急車による患者のたらい回し等、深刻な事態が発生し、大勢の命が危険にさらされてるわけで。
もちろん山崎豊子さんや、この作品に、そういった現状の責任を問うほど単純じゃありませんけれど、そのような事態を招いた流れに加担した一人として、現状に対するご意見を是非伺いたいと思います。
非常に複雑な問題を一面的な「正義」で描くのってどうよ?
また、東教授親子が実に不愉快でした。
人間が他人を嫌うのは別に理屈じゃなく、どうしようもないことです。
しかし、自分の感情を正当化するために相手を悪と決めつけ、自分を正義として行動するその姿には、吐き気を感じさせるほどの醜さを感じました。さらに一番恐ろしいのは描いている山崎さん自身が、その醜さに気がついてないことですね。
(誤診以前には特に財前に巨悪とまで言われるほどの行動は無かったこと、東が通常どおり、財前を後継者に指名していれば、そもそも買収等の悪事も行う必要が無かったことに注目!。どうも山崎さんは、下層階級からの成りあがり者を嫌い醜く描く傾向がありますね)
※ 最近、ヒロインを演じる女優に魅かれて見た医療ドラマに深く感じるところがあり、そのためにかなり偏った見かたになっているかもしれません。ご容赦を