2.《ネタバレ》 トリュフォーの映画は多分これが初めて。体制側に疑問を抱き、ルールにシャットアウトされた向こう側を覗いてみたい好奇心を応援する監督の姿勢や、男女で抱き合ってるしぐさのイタズラ青年をちょっと映してみたりする子供っぽい遊び心などから、何となく彼が『未知との遭遇』に呼ばれたのにうなづけると思いました。何年制作か知らずに見ましたが、多分かなり古いはずと思いながらも、モノレールや薄型パネルの壁掛けTVやロッカーや電話機などのデザインを見るうち「このセンスだと、思ったほど古くないのかな・・・?」と思い始め、しかしまだ幼いマークレスターが学校の廊下に表れて「こりゃ思ったより古いぞ!」と驚きました。というわけで感心したのはデザインセンス。あと、マッチで焼身するオバチャンの存在感がGOOD! けれど、物語はつかみOKで、それなりに引っ張ってくれたもの、自分としては「それがオチかい」という拍子抜けな話でした。オープニングで印象に焼き付くTVやラジオの存在と、書物の違いがいまいちピンと来ないのも腑に落ちませんでした。アンテナはまるで『ゼイリブ』みたいに洗脳を感じさせるし、視聴者参加型ドラマの寒気がくる演出も良かったけれど、本作の映画自体が映像ものなのだし、こうしたものがテレビで流される事態を考えてしまうと、書物ばかりが全面的に否定される理由が分からないし、TVでも架空の人物の話とかしそうなんだけど・・・。多分、国民に知識を与えずアホにさせとくことが上の狙いという感じなんだろうけど、それによって国民が何を吸い取られているかの部分は描かれてない感じで・・・なーんか納得いかない。「仕事で発生する書類の束とか、どういう扱いになってるんだろう?」とか考えると本全般を目の敵にする社会設定は不便きわまりなく無理があると思う。最後に、DVDの特典は音声も字幕も日本語ナシって、どういう考えで収録したのサ?