1.《ネタバレ》 日本ホラー映画の歴史に名を残すあだ花、『血を吸う』三部作の記念すべき(?)第一作です。大映が倒産、日活もロマンポルノ専業にと邦画メジャーが息も絶え絶えだった時期の、苦し紛れの企画だったそうです。でもねぇ、『幽霊屋敷』じゃないし『血を吸う人形』なんか出てこないし、それどころか誰も『血を吸う』なんてことはやってません! 瀕死の人間に催眠術を施したら死なずにゾンビみたいになっちゃった、と言うのが大まかなプロットでE・アラン・ポーの小説がネタ元みたいです。上映時間は短いし登場人物も驚くほど少ない低予算映画ですが、ゴシック・ホラーとしての雰囲気が少しは出ているのかなと思います。冒頭に中村敦夫が登場してこの人が主人公かと思いきや、本人としても不本意だったろうと推測出来る様なフェードアウトをしてしまいます。リビング・デッドのようになって殺人を繰り返す小林夕岐子は変なコンタクト・レンズを着けただけのお手軽メイクなんですが、不気味な美しさは伝わってきました。 まあこの映画の意義としては、そこそこヒットしたおかげで『血を吸う』シリーズが誕生し、そこから岸田森という邦画を代表する(?)ヴァンパイア役者を誕生させたということになるんでしょうね。