6.《ネタバレ》 ハッキリ言ってかなり期待外れだった作品。アニメーションの快楽、脚本の練り方、共に中途半端でとても良質な作品とは思えません。
アニメーションに関しては、中国画風になったり、キャラクターデザインが明らかに旧来のディズニー映画にありがちな画とは違っていたりと、ハッとさせるものもありますが、その魅せ方が今市で強いインパクトを伴わない。単純にアニメーションとしての魅せ方が下手な部分も多々あり、例えば雪山でフン族の一軍に強襲されるシーンですが、ここは舞台設定のみならば『ライオン・キング』のヌーの群れが襲い掛かってくるシーンと良く似ています。但し、同作の方はヌーの大群が主人公の見えない所に居て「これが襲い掛かって来たら大変だ!」と観客をハラハラさせるのに対し、本作はいきなり何の前触れもなく大群が押し寄せてくる。謂わば溜めの無いアクション。これじゃあドキドキしない。
脚本に関しても同様でどれも教科書通りの設定を盛込んだ為に、結果全てが中途半端にしか機能していないと思います。ムーランと将軍の息子との大して必然性の無いロマンス、典型的なサイドキックとして無理矢理詰め込まれている風のドラゴンと幸運のコオロギ、全然魅力的でないムーランの戦友三人、紋切型の悪役像、どのキャラクターも背景の描き込みが希薄だと言わざるを得ません。