6.《ネタバレ》 笑いとしては程度の低いナンセンスギャグばかりで大して面白くないのですが(嘔吐、放尿、放屁なんて小学生レベルのネタだわね)、それより何より『ハッピーフライト』に続いてなんかイライラさせる映画で。それって一体なんのせい?と思ったのですが、コレとは全く別の映画についてのフォロワーさんの感想を読んで、ああ、そうそう、それのせいだ、って。
「いいからお前ら、ちゃんと働けよ」
いや、お笑い映画なのだからちゃんと働かない人々だからこそ笑える、って事なんでしょうけども。
この映画、いかに仕事をせずに人を騙すか、っていうのが物語の基本。
矢口監督の映画はいつもまず最初に思いっきりダメなところから始めるんです。引き算しまくった人間を描いて、そこに幾らか足していく事で結果的に良かったね、っていう。
『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』みたいに高校生ならば引き算しまくったおバカでもいいんです。でも、社会人はそうはいかないでしょう。『ハッピーフライト』もこれも、社会的な責任を背負った大人がなんてバカなんだろ?って、もうその時点でひっかかっちゃう。
そんなダメなキャラでも愛する事ができればそれはそれでいいのですが、吉高嬢も含めて、この映画のキャラには魅力がありません。ギャグのためのキャラクター造形という作為が丸見えになってしまっているからなんですね。
大体、思いきり低いところから始めてちょっと上げてみせる事で(今作で言えばそれまでインチキばかりしていた3人がマジメにロボット工学を学んでゆくところね)なんとなくいい感じに見せるっていうのは作劇法としてわりとラクな手な訳で、この監督の作品はそれをちょっと繰り返し過ぎかなぁ。
植木等のスチャラカ社員はあのモーレツな高度成長時代なればこそアンチテーゼとして機能していた訳で、じゃあ今の時代にあるべき勤め人の姿とはどういうモノ?って考えた時に、ちょっと矢口キャラって違うんでないの?と思うのでした。