1.《ネタバレ》 「銀河鉄道の夜」が大好きだったので楽しみにしていたですが、残念な作品でした。
何より納得がいかなかったのは、原作のようにブドリ(兄)がネリ(妹)と再会しなかったことです。
最後のブドリの行動も、守るべき家族がいてこそ説得力があるものだと思うのです。
また、この映画では、「銀河鉄道の夜」で良い方向に働いていた幻想的なシーンが、上手く機能していないように思えます。
もともと夢のようなシーンが多い「銀河鉄道の夜」では、始終その幻想的な風景に見とれることができましたが、今作では「現実」と「夢」が交錯するので、どうにも入り込みにくいところがあります。
「グスコーブドリの伝記」は、現実的な自然の厳しさを描いている作品です。
それとファンタジーらしい描写は、そもそも親和性が低いのです。
だから映画では、「夢」と「現実」がそれぞれ描かれるようになったと思うのですが・・・タイトルが「伝記」なのに、作品が「夢物語」のようになってしまっている印象でした。