18.《ネタバレ》 公開当時は『男子がシンクロ??』ってだけで、馬鹿馬鹿しい注目度があったように思います。ホントそれだけで観るのに抵抗あった時代だし、想像するだけで笑えるし、逆張りでヒットしたのも頷けます。
そして周防監督作品を筆頭に『素人が、一生懸命練習して、その世界で人に観せられる域に達する』映画が、徐々に邦画界で取り上げられてきてました。本作はその一種として『学生が部活動にのめり込む青春モノ』をミックスした、邦画界のターニングポイント作品であり、パイオニアな作品でもあったんでしょう。
何よりメインキャストが若手だから、制作費もそんなに掛からない。本作をキッカケに、同じような“部活青春映画”がボコボコ生まれ、日本映画界に新風を巻き起こしました。どれもそれなりにヒットしましたね。
『男がストリップ??』4年前のイギリス映画~本来、女がやるストリップを、素人の男がやる~フル・モンティ。本作は低予算で大ヒットの、この映画ありきな作品に思えます。日本版フルモンティを創るに当たり、~本来、女がやるシンクロを、素人の男子高校生が、実際にやってるらしい~ってネタは、いいハマり具合だったんでしょう。美少年俳優が、ちっちゃい競泳水着はいて、水面から脚だけ出して、大股開きのインパクト。そこだけ欲しかったから、別に川越高校男子水泳部の再現に、こだわりはありません。シンクロやる目的=大金を作るため…なんて、フルモンティから設定丸々持ってきたんでしょう。
磯村に魚の代金を返さなきゃいけないのに、その磯村がゲーセン代5000円をポンと出す謎。鈴木は木内にシンクロやることを告げられずにいたのに、木内は鈴木にシンクロのアップリケ付きの海パンを用意していた謎(※てか商店街にポスター貼ってたからバレて当然か)。あと本作に限らずだけど、中盤以降になってメイン以外のメンバー(水泳部員?)が俺も俺もと参加してきて、メインと遜色ないパフォーマンスをする謎。そもそものメインメンバーが、シンクロ素人の磯村の教えで上手くなる謎。最初の方で主人公が拾った鼻栓も、捨てられて以降、活かされること無いし、最後みんな付けてないし。ご厚意で借りた他校のプールに水泳キャップしないで入ってるし。馬鹿やって釣り堀の魚全滅とか、馬鹿やってイルカ感電死(未遂)とか、部員の一人がゲイとか、時代とともに笑っていいのか困るネタもチラホラ。
でも、学際の日程が重なって会えない鈴木と木内が、ボヤ騒ぎでプールの水が…からの展開は、素直に上手いなと思いました。一番の見せ場のシンクロもビシッと決まって見事でした。
だけど本作が、優勝とか点数を争うスポ根モノじゃない以上、入場者数が目標金額に達したのかは触れるべきかと。ともしびのママたちのチケットが無効扱いされてたのも意味不明だったし。満員御礼だから言うまでもない事かもしれないけど、そういう所まで投げっぱなしにされると、彼らの目的が弁償するお金を作るためなのか、金額関係なく練習したシンクロを披露するためなのか、そもそも最後、何で彼らがシンクロしてるのか、良くわからなくなってました。
そんな観方じゃ、同時代のテレビ企画『ウリナリ芸能人◯◯部』と変わりありません。観る側も、細かい事ゴチャゴチャ考えず『男子がシンクロ??』って最初のインパクトで最後まで突っ走ってこその映画です。変にシリアスな展開や泣ける場面を入れず、最初の馬鹿馬鹿しさのまま突っ走ったって意味では、よく出来てます。