1.《ネタバレ》 イタリアは芸術の都フィレンツェを舞台に、イギリス人コミュニティの視点から第二次世界大戦を描く、毛色の変わった戦争映画です。見始めると、イタリアが舞台なのに、ほとんどの人が英語をしゃべっていることに、疑問を感じましたが、フィレンツェに在住のイギリス人コミュニティの話であることが分かってきます。主人公は、イタリア人実業家の私生児の少年です。父親の子育て放棄により、イギリス人秘書に引き取られ、イギリス人コミュニティの中で育てられることになります。コミュニティには、同じ言葉をしゃべる外国人という立場であることから、アメリカ人も含まれています。しかし、かつてムッソリーニとも親交があり、今でもティーパーティーにふける在伊英国大使未亡人からすれば、商売や研究、芸術趣味のために来ているバイタリティ溢れるアメリカ人女性は、野蛮以外の何物でも無く、その未亡人が、ことあるごとにアメリカ人の悪口を言っているというのが前半です。主人公が少年から青年に成長するとともに、世界情勢は悪化し、戦争からは縁遠い芸術の都にあっても、第二次大戦に巻き込まれていくというのが後半です。戦線から離れたところから見る第二次大戦の一側面として、参考になりました。国境が地続きの国家間の戦争って、日本に住んでいるとなかなかイメージできないのですよね。興味深いと思ったのは、日本の真珠湾攻撃によりアメリカ軍が大被害を受けるというニュースに、イギリス人コミュニティに笑みがこぼれるところです。安堵の表情に近いかも知れません。これは「日本軍グッジョブ!」という意味ではなく、アメリカが参戦したことに対する歓喜です。なるほどなぁと思いました。ひ、人が死んでんねんで?とも思いましたが。後で調べてみたところ、監督の半自叙伝的な作品とのことなので、この作品の空気感はそれなりに信頼できるものだと感じました。