1.東京のど真ん中に原発を誘致するという切り口はオモシロイ。が、しかし都知事を演じるのが役所広司だとマッドな都知事であろうはずがなく、案の定という感じで進んでいく。これは明らかに現都知事石原氏を讃える意図が見え見えで、作り手の体制になびく姿勢がイヤラシイ。それではサスペンス部分はどうかというと、演出が弱々しくしかもコメディ調も手伝い緊張感に欠けます。いうまでもなく、原発反対派の教授一人が都合の良い不要論を気持ち良く一方的に述べるだけでは見ていて説得力がありません。反対派に推進派、双方の専門家達が素人目にもわかるようお互い意見を述べ合いぶつけ合い、白熱する激論のシーンがあってこそ盛り上がりなお且つ考えさせられ、作品に説得性を持たせるのではないだろうか。つくづく思うわけですが、日本国内に数多くの原子力発電所が存在するという戦慄すべく事実。実は極めて重大かつ身近な問題であり、放射能漏れによる大惨事が今日明日にでも起こってもおかしくはありません。ま、本作で評価出来るのは「太陽を盗んだ男」(この映画はスリリングで、しかも面白く作られておりお薦めの1本です)以来、邦画でひさびさに原発という一筋縄ではいかない難題を取り上げたことぐらいですかね。ん、でアンタはどっち派だって? もちろん反対派です。