1.《ネタバレ》 薄い映画になってしまい残念。
東野圭吾の作品にして評価の分かれる原作ですが、
原作の読者が結末に不満を感じたのは長峰に復讐を遂げさせてやりたい
という思いがあるからだと思う。
それくらいこの話は、読者や観客がいかに長峰に感情移入できるかが全てだと思う。
映画では犯人側の少年の鬼畜さや、犯行の惨たらしさがあまり描写されないので
いまいち本気で長峰に感情移入できない。
それはレイプシーンをきちんと描写していないとかそういうことではなくて、
やったことに罪悪感なんて微塵も感じず、なんとかうまく誤魔化して
逃げきろうとする犯人の描写や、少年法を逆手にとって開き直る様が描かれないので、
犯人達に理不尽に娘の命を奪われた長峰の怒りと悲しみが共感しきれないのだ。
時間とともに薄れてしまう復讐心を保つために、何度もつらい犯行の映像を
見返して娘を死に追いやった犯人達への怒りを増幅させる描写も無く、
長峰が何の展開も無く雪山を歩いているシーンが無駄に冗長で
緊張感もなくなってしまい間延びしてしまう。
途中でいい加減にあきらめて自首したら?とさえ思えてしまうのだ。
原作ラストとの変更もぬるい。
これではブロンソンの「狼よさらば」の方がずっと感情移入できてしまうのだ。
期待していただけに残念。