1.すんません、私には駄目でした。映画館でもその後、DVDでも鑑賞したのですが、他の作品群に比べると凡作と感じました。乙羽の一途な愛に揺れる心の動きや、田中絹代の凛とした美しさを動きを、圧倒的な映像美や美術で作られる世界に同調して演出しているものと思いますが、私には如何せん動きに欠ける。この奇妙な関係の各々の心の動きは興味深いのですが、3人という限定した人物で持って、人物を描くのが難しいのかも知れない。内面の心情描写が巧いと言われる成瀬監督は、些細な動きを一瞬で捉えたり、狭い空間の中でも動きを見せたりするのですが、溝口監督は動かない。武蔵野夫人にも同様の印象があり、この手の作品は祇園2作品(姉妹・囃子)、「噂の女」のような、動きのある作品・題材の方が得意だったのかと思う。