3.《ネタバレ》 【感想】実話を元にした難病恋愛もの。この手の映画作りにはコツがある。女性を中心に据え、美しく撮る。病前の健康で明るい様子を描く。病前と病後のギャップを著しく。純愛を強調。病気の悲惨さを伝える。印象的な言葉、シーンを挿入してメリハリを利かせる。音楽で感動を盛り上げる。長尺にしない。本作の出来は、残念ながらどれも中途半端。最たるものはビデオレターでの健康そうな顔。一方で病前なのに元気のないこと。男の顔にライトは当たっているのに、女には当たってなかったり、意味のないロングショットの長回しがある。ビデオレターの場面でも、男がテープをセットするような部分はカットできる。全てのエピソードが冗長ぎみ。屋久島旅行は映画の脚色。傘があるのに差さないで雨中を指輪を求めて走るシーンはくどい。医者や知人など支える側の人物像が描けていない。若くして人が亡くなる悲しさ・不条理さが描けてない。結婚式に出席した男性の父親に拍手。企画は良いが、演技力、監督力、カメラ力、編集力、総合的映画力が不足。感動作とはほど遠い。◆女性の生きたいという気力は出ており、優しさも伝わる。若年の乳がんの恐ろしさを伝えたかったのは本心からだろう。男性もよく尽くしたと思う。入籍せず形だけの結婚式とはいえ、決意するのは並大抵のことではない。TVカメラが回っているのだし。事後のトラブルで美談になりきれなかったのは残念。乳房のしこりに気付きつつ、ひと月放置したら数センチにまで成長した、という病状の経過が無いのは残念。
【経過】2005.12月出会い。2006.1月乳癌発覚。5月伊勢旅行。8月福島・北海道旅行。乳房切除。2007.3月転移、余命宣告。4月TBS取材開始。4月5日模擬結婚式。5月6日永眠。5.10日と11日TBSで放送。
【印象的な科白】「ありがとう!(父が突然太郎に向かって絶句)」「いつか支えきれなくなる、其の時悲しむのは彼女だ(父)」「生きるってすごい事だね(千恵)」「本当の花嫁さんになる人に悪い(千恵)」「癌になってごめんね(千恵)」