2.冒頭に「1945年9月製作」のテロップ。終戦直後の日付だが意味が解らず、調べたところによると進駐軍の検閲に引っ掛かり公開が1952年まで遅れたとのこと。主君への忠誠心の描写がダメだったらしい。外国人の目には、とても日本的に映る映画、ということなのでしょう。エノケンという人はほとんど観たことがなかったけれど、芸達者ということは良く分かった。反対に大河内の台詞が聞き取りづらく、しかも力めば力むほど何を言ってるのか分からなくてストレスだった。立ち居振る舞いには迫力があるんだけどねぇ。黒澤映画という視点で言うと、ほとんどスタジオの中での会話劇的な展開であるために特色が出ていない。ラストシーンの空は良く観ると書割なんだけど、描画のこだわりにはこの監督の色が現れていると思いました。