1.面白くない。
ただ人が堕ちていく。この映像に出てくる人物がただ一人として幸せと思えず、こうなったらどうしようと恐怖すら感じたのを覚えている。
金を金としてではなく、大切な思い出としての物質に置き換えた設定。これが凄く嫌いだ。私だったらその金を大切にとっておくことをしないで、まず真っ先に一生大事に使うかもしれない道具や、一生の知識になって欲しいと願う本や何かに換えて、毎日使うことを考える。というか親にもらった全く同じ意味合いのお金を私はそういう風に使った。
作り手の都合で純君が大事に現金のまま持たされた紙幣には、脚本家が泥をつけることで記号化の意図を込められているが、泥がついたからとか汗がついているからとか、そういうことを理由に大切にするかな。気持ちを大切にしたという設定なのに、何を授けて送り出したらいいのか分からなかった器用さに欠ける父親が、現金にどういう願いを込めたのかの部分を詰めなかったせいでこの話はグチャグチャの転落劇の様相を呈したのではないかと思う。
生きていくことがつらい、結構当たり前だとは思うがこの話では生きることがイコール無間地獄である。この作られた地獄を見ると、絶望感で息が詰まる。