5.《ネタバレ》 ~Le Mans~ル・マン。やはりフランスの地名でした。年数回行われる6~24時間の耐久レース世界選手権の1戦で、F-1で言えばモナコGPみたいな“耐久レースの花形”みたいな扱いだろうか?
最初の40分弱、主演俳優のセリフなし。映像を盛り上げる音楽もほとんど無し。一番セリフが多いのがサーキットのアナウンスってインパクトの強い映画。
登場人物の心情に焦点を当てるのを最小限にして、24時間耐久レースというイベントの空気感を伝えることに時間を割いていて、レース直前の街の様子、観客の動き、ピット裏の様子、併設された遊園地なんかを、時間の流れともに映されているので、まるで自分も一緒に参加しているような雰囲気を味わえる。
ポルシェ21号車のリッターが奥さんに「引退して新しい仕事を…」なんて言うから、いわゆる死亡フラグかと思ってしまった。消えかけていたレーサーの火を、選手交代の不完全燃焼からの再燃、引退撤回は、かなりアツいシーン。
さてこのリッターと、リタイアした20号車デレイニーの、車両を替えての選手交代って、同じポルシェ・チームだけど、ルール的に良いの?アナウンスでは、運転は2人が交代で、1人14時間まで、4時間以上走っちゃ駄目…とか、最初に言ってたけど?
デレイニーと宿敵フェラーリの8号車スターラーの2-3位争いは熱い…ハズなのに、ポルシェ22号車ウィルソンを優勝させるための、ポルシェ・チームが勝つための“スターラーを妨害しろ”ってチームオーダーだと思うと、なんか、どうなんだろ?
余談だけど私はF-1ドライバーのR.パトレーゼという選手が好きで、'92年のあからさまなチームオーダー(チームメイトのマンセルを先に行かせろ)に腹を立てていたのを思い出した。このポルシェ・チームのリッターの扱い方が、パトレーゼに対するウィリアムズ・チームの扱い方と被ってしまう。ル・マンのルールは知らないけど、ドライバー同士の戦いより、ワークス同士の勝敗が大事なのか?と。
同類のサーキット映画『グラン・プリ』に比べたら、レースシーンは常識の範囲内かもしれない。もちろんアッチが異常、変態カメラワークなのであって、車載カメラ映像は充分に迫力があり、音響も素晴らしい。特にタイヤが徐々に歪んでパンクするシーンなんて観いて為になった。時間とともに煤汚れていく車体が耐久レースの過酷さを表現している。シーンによっては車体が綺麗になってることもあるけど、そのツッコミは野暮だろう。