1.《ネタバレ》 最初に言ってしまうと、私はこういうのにノレない。
…40代まで来ると、この程度の世界観で演出されたものに感動したりウルウルしたりする感度はすでに無いってもんだ。
全体的に浅いんです。
貧乏で家庭環境が悪くて落ちこぼれの生徒。
対する捨て身の熱血女性教師。
…ダメだなあ。
人生は…そして世界や社会の90%(便宜的に。99%でも可。)は、「非熱血」的な要素で構成されている。
それを「ルーティン」と呼ぶ。人生や世の中のほとんどすべては、タラリンとしたつまらなく退屈なルーティンだ。そして人生や世の中は不平等である。それを、アイロニーとかブラックユーモアとかでなんとか味付けしつつ人は生きる。味付けでごまかしながら、死に辿り着くまでなんとか生ききる(それがどうしても嫌な人は、ドラッグやアルコールで「10%」の世界に居座り続けて廃人になるか、熱血ゲバラのように無駄死にする)。
こういう感覚がこの映画にはゼロであろう。
目には炎。人生は燃やしきるもの。熱血。ダメだ。
20代まででしょうねえ、これにノレるのは。
正直言って、30代以降の人でこの映画に感動している人は信用できない。修行が足りない。
底辺に生きる生徒に「下には下がある」ことを見せる。それはホロコーストであり、公民権運動。
ここまでヒネリがないと、かえって感心しますね。こういうのを日本では芸が無いという。
この先生はティーンエイジャーを相手にしたからうまくいったというだけのことではないでしょうか。
大人には通用しない芸風である。
それに、「10%」を出せば子供が喜ぶのは当然なので、それは安易な教育法なのであって、どっちかというと、「90%」のつまらないパートをどうやってやり過ごして生きるのかということを教えるほうが、生徒のためになるのではないか?
…こう言ってみるのは、私の高校時代の教師の多くが、〝実利的な勉強の内容〟よりもむしろそれを教えようとしてくれたからだ。
そして、指摘しておきたいのは「仕事で身銭を切ったら、それは終わりの始まり」だということだ。
こんな映画に影響されて、仕事で自腹を切ったら最後、それはとめどなくなって職業そのものが続けられなくなるのは間違いないので、絶対に真似をしてはいけない。
仕事で身銭を切ってはいけない。…慈善事業でない限り。
スワンクは本当に作品選びが下手。彼女のブレーンがダメなんだろうな。