1.エドワード・ズウィックという人は、重めのテーマをエンターテインメントのオブラートに包んで見やすく提供する技術に長けていて、「ラスト・サムライ」や「ブラッド・ダイヤモンド」ではそれが遂に全面開花していたんだけど、この作品はどうもそのセンスが裏目に出ています。実話ベースの実在の登場人物ということで、得意の好き勝手な創作も自粛したのか、それによって演出はこぢんまりとまとまってしまい、他方で銃撃戦なんかは十八番のこだわり大展開をしているので、進めば進むほど、リアリティは失われ、話が空中浮遊する感じになっているのです。森林に隠れた生活というのが主軸なんだから、もっと日常生活の1つ1つをじっくりと見たいところでした。