1.《ネタバレ》 監督はデ・パルマ版よりもキングの原作に近いと言っておりましたが、実際には原作の再映画化ではなくてデ・パルマ版のリメイクですね。
原作は今の流行りをずっと昔に先取りしたかのようなモキュメンタリー風の構成なのですが映画の構成はデ・パルマ版まんまですし、名前はあくまでキャリエッタではなくキャリーですし。
となると旧作との比較という感じになってしまって(間違い探し程度の差という状態)、ごくごく一部を除くと旧作に遙かに及ばないリメイクといった状態。
旧作より良かった点は、1つはスーの改心の過程。旧作はスーの心が掴めず、キャリーにプロムを譲るまでの流れが唐突な感じだったのに対して、今作ではもう少しスーに寄る事で過程が見えています。
もう1つはいじめっ子カップルの車との対決シーン。旧作は唐突に対決シーンが始まりますが(前のシーンからの繋がりが不自然)、今作では二人とキャリーとの行動の流れを追った上での対決となります。
で、評価できる点はその程度。
演出はデ・パルマのような個性を望むべくもなく、クロエは最初からプロムまで見た目の印象が特に変わりません。生徒の多くが旧作に比べて劣化状態、音楽も旧作のような美しい旋律を聴く事はできません。
と、どうしても旧作との比較状態になってしまうのですが、今作の価値というのが感じられないのがつらいのですよね。元が元なだけにそれでもそこそこ見られる映画になっているものの、あえてリメイクしただけの価値あるモノが見当たらないんですよね。
旧作は怖くない、むしろ切なく哀しいホラーでしたが、これはそこも薄味になっちゃった感じ。
っていうか、クロエは肩幅広くて、肩とか二の腕とか逞しくて、超能力なんて使わなくても腕力でいじめっ子に十分勝てそうな感じなんですけど。