5.1996年に起きたエベレスト大量遭難を扱った実話映画。
脚色はほとんどなく事実にかなり忠実に作られています。
監督は「2ガンズ」(能天気娯楽アクション)や「湿地」(陰湿地味ミステリー)と同じ人なんですが、映画の傾向がどれもこれも見事にバラバラ。
この人の作風って広すぎませんか…ある意味プロの監督なんだなぁ、と思います。
さて、なぜ事故が起きたのかを淡々と描くこの手のノンフィクション映画は世の中に沢山あるわけですが、他の映画と違いこの映画の登場人物は基本的に自己責任なんですよね。
「金払ってわざわざ危険な場所に行き、しかも身勝手な事をやって失敗する」というわけで基本的に同情の余地がありません。
例えば「ユナイテッド93」のような映画であれば登場人物に非は一切なく外部的な要因で悲劇に巻き込まれてしまうわけです。そこで起きる悲劇そして登場人物の必死な姿に真摯に魅入ってしまうわけですが、一方でこのエベレストのいような映画、この映画以外では「オープンウォーター」や「パーフェクトストーム」のような映画は、「お前らアホだろ」というシラけた目線でした映画を観る事ができません。
たとえば台風がきてるときにわざわざ川の中州でキャンプしてる人が事故にあったというニュースを聞いたときの印象と近い感覚ですね。
とにかくシラけるだけで気持ちが動きません。
で、気持ちが動かない映画というのはどうしたってつまらないのです。
ついでに言うとエベレストの商業登山による渋滞のひどさは最近でもちょいちょいニュースで見かけますが、そういうニュースを見る限り今はこの映画のときよりはるかにひどい状況のようです。
いやもう世の中馬鹿ばっかかよ、と。