7.《ネタバレ》 ~『アビス』のつづき~
最近DVDを買うまで放置していた完全版。こちらだときっと、ディープコアを助けるまでの描写が細かく描かれてるんじゃないかな?なんてちょっぴり期待をしてましたが…
海底でバッドたちが孤立している間に、地上では米のミサイル巡洋艦がソ連の駆逐艦を撃沈(事故?)して死者が出るなど、第二のキューバ危機が起きています。このまま行けば第三次世界大戦って状況です。
完全版の一番の観せ場が地上を襲う大津波…う~~んどうでしょう??この物理法則全否定“モーゼの十戒”並みの奇跡を、この題材の映画で観せられるとは思わなんだ。ここまで行くとリアリティなんて吹き飛びます。
そして映像で観せる核実験、戦争、紛争。同種族で争う愚かしい人間が、自分の手に余る核という脅威を手に入れたことに対する警告であり、それが「人類はもう少し大人になれ。おせっかいだとは思うが」になる。
世界滅亡の核戦争を止めるための世界同時発生の大津波。命を犠牲にしても核弾頭を止めたバッドのような人間への敬意と、人類への期待から、深海生物は地上に姿を出すことに決めた。ってことだけど、見かたによっては人類をより強大な脅威で脅してるんだよな。
そもそも、原子力潜水艦モンタナが沈んだのは深海生物の接触で電力が死んだためで、それがキッカケで米ソの間に第二のキューバ危機が起きてる。
ディープコアが地上から切り離されたのは彼ら深海生物が起こした暴風雨の影響。
そしてコフィが核弾頭をセットしようと決めたのは、ヘビ状の水が核弾頭を見てたから。ってかどうしてコフィたちは核弾頭の部屋を無人にしてたんだ?
もし戦争になってたら、その引き金はどう考えても深海生物のせいだったろう。余計モヤモヤするわ。
“強い女性”を描くのが上手いキャメロン監督。ターミネーターのサラもエイリアン2のリプレーも、最初と最後で主人公の女性が大きく変化(成長)します。さて本作のリンジーは?
彼女は登場時から頭の良い大人の女性。周りからは堅物の嫌な女扱い。そんな彼女が深海生物の存在をキラッキラした目で熱弁するギャップ。登場時はスーツでパリッと決めてたリンジーが、最後はノーメイク・髪ボサボサでダボダボのスウェット。まるで少女のように。これはこれで変化球だったかな。
賛否両論の本作だけど、印象的なシーンも多いし、悪くない映画だと思います。