1.《ネタバレ》 米アカデミーの外国語映画賞とカンヌ・パルムドールを獲っちゃってるらしい。たしかにここで描かれる時代のユーゴスラビアの政治体制に翻弄される家族の描写は、時代が様変わりした今でもある意味においては普遍性を持ち、人生に介在してくる政治がいかにその人生に影響を及ぼすかが痛々しく表現されている。そしてそんな体制に自己を装いながら強く生きる様のその奔放さに後のクストリッツァの原型を見る。ただ、僻地へと送られた主人公のどこかあっけらかんとした生活の描写に対して、主人公を逮捕した義兄と妹との深い溝、そして密告者である元愛人がラストのくだりで自殺を図るシーンの痛々しさはどうだろう。体制につく人間もまた翻弄されるというのはわかるが、ここだけ重すぎるような気がする。