1.《ネタバレ》 スタイリッシュ、と言うよりかなりオフ・ビートなドタバタコメディです。脚本を書いた山﨑忠明という人、実は岡本喜八の傑作カルト『殺人狂時代』のオリジナル脚本家でもあるそうで、なんでも日活でボツにされたのが東宝で採用されて陽の眼をみたそうです。そしてこの人、アニメ版『ルパン三世』の脚本も書いていると知って納得しました。宍戸錠や浅丘ルリ子などのキャラが『ルパン三世』の主要キャラと性格づけが良く似ているんです。極めつけは宍戸錠が乗り回す珍車メッサーシュミットKR200、ほら、『ルパン三世』にも登場する小型タンデム三輪自動車ですよ! この映画、監督が監督なだけにかなりアンバランスというか妙な拘りが随所に観られます。コメディのくせしてけっこう無造作に人を殺すし、殺し方も血が流れるところを強調したりして生々しい。おまけにその死体を見て浅丘ルリ子が派手にゲロまで吐くし、なんと言うか、ヒロインがゲロ吐く日本映画ってちょっと他にはないんじゃないかな。でも本作の彼女は、始めから終りまでもうバルカン砲の様な猛スピードでセリフをまくしたてて、その滑舌の良さには感心しました。 それにしても、左ト全の贋札名人が香港から帰ってくるという冒頭の設定でオチが大体判ってしまいました(笑)。