2.《ネタバレ》 私はアメリカに行ったことも住んだこともないが、アメリカ製の映像コンテンツはくさるほど見ているのでもしかすると実際に住んでいる日本人より部分的には詳しくなっているかもしれない、それはいばれることではもちろんない。
それでまあ最近、アメリカの貧乏人に同情する気持ちがどんどんなくなってきまして、もうほとんどゼロと言ってもいいでしょう。
その理由はアメリカが前提としている〝前借り借金文化〟に対するものです。
借金=前借りすることによって実際の身の丈より良い生活をするということを前提としている文化に感心しないし、それどころか〝自業自得〟と思ってしまう。
たかが90万円(9000ドル)の医療費自己負担が払えなくてホームレスになる中年夫婦とは、いったい今までどんな経済生活をしてきたのでしょうか。…そらまあ借金まみれの貯金なし、ですわなあ。
同情する気にはなれないのです。ウチの亡父などは60過ぎてから現金で自宅を購入し、生涯借金をせず死んでいったものですから。
マイケル・ムーアは貧乏人の味方ということになっていますから、彼の作品では登場人物は「被害者」という扱いになっています。けどなあ、そういう見せ方をされればされるほど、「貯金してなかったのかよ」とか「医療費は払えなくても肥満するだけの食料は買えるわけね」とか、意地の悪~い突っ込みが止められなくなるのであった。
なによりも、アメリカという社会が〝是〟としているものが「より大きなリスクを引き受けて成功したヤツを尊敬する」ということで建国以来この点は動いていないわけですから、その裏には「敗者」がいっぱいいることが当然なわけで、あそこの国民はそれでいいと思っているわけです、本心では。
よくないのは「自分のとこが敗者」であることに対してであって、基本的には上記の理念がみんなのコンセンサスでしょ。
…だからアメリカの貧乏人のグチって、まともに聞く気がしないんですよ。たまたま〝あなた〟の運が悪かっただけなのね、というレベルの話に聞こえる。
つまりは、「国を良くしていこう」というコンセンサスはまだ、あの若い国にはできてない、と私は思っているし、みな「勝ったもんがやり放題」でいいとホントは思っているみたいだし。自分が勝ってないことに対する文句は言うけども、という話でしょう。違うの?ムーアさん?