6.《ネタバレ》 20代の青年が、自分探しの旅に出る。
青春ロードムービー。
私も似たような20代を送ってきた。
もちろん、この映画のように生死をかけた旅路ではなかったが。
必至に何かを得たくて、今あるものを捨て、旅に出た。
そこには心配する家族もいたし、周りにも迷惑をかけた。
特に親には、大変な迷惑をかけた。
後悔もしていないし、あの頃があったからこそ、今の自分がここに居られるのだと思う。
本作に関して、そういった自分自身の人生体験と、フラッシュバックする場面があったかと言えば・・・ほとんどなかった。
人種の違いというのも要因の一つだったかもしれないが、一番の原因は、生死をかけて臨んでいたかどうかだ。
さすがに、自分探しの旅で、ここまで生死に関わる旅をしたことはない。
自分探しの旅を、普遍的な設定で描いてくれていれば、もっとのめりこめただろう。
しかし、かなり環境依存していて、普遍的とは言い難い。
しかも生死をかけているので、さすがに自分と重ね合わせるには、次元が異なった。
描こうとしているテーマはとても深刻で、社会性をも帯びていて、奥深い。
偏った家庭環境が、その子供の将来に影を落とす。
そういった、悲劇をも内包していた。
作品としては真面目だし立派だが、自分探しの旅って、自分の感覚からすると、青春時代の戯れにすぎない。
そんな私が、共感できるだろうと期待して観てしまったものだから、さすがに入り込めなかった。