3.ストーリーのキーアイテムとなるシャーロック・ホームズセットをはじめ、コエカタマリンやらころばし屋なんかのマイナーなひみつ道具をピックアップしてくるあたり、現代の子どもたちをターゲットとしつつも、彼らを映画館に連れてくる僕たち往年のドラえもんファンに対してのサービス精神は豊富だ。
その他にも、頭上を越えていく“ザンダクロス”の巨体だったり、“どこでもドア第一号”などの描写は思わずニヤリとしてしまう。
そういう意味で、子どもも大人も楽しみがいのあるドラえもん映画であったことは間違いない。
だがしかし、小うるさい往年のドラえもんファンとしては、大きな物足りなさが残る。
それはやはり、ストーリーテリングの“踏み込み”の弱さだろう。
面白そうな掴みや、ギミックは散りばめられてはいるのだけれど、それらはすべて表面的な“ユニーク”さに終始しており、かつてのドラえもん映画に存在したワクワク感が感じられない。
そして、表面的な感動を追い求めた結果、あまりにウェットで安直な友情物語に着地してしまっている。
勿論、描かれているテーマ自体が悪いわけではない。むしろ、子供向けの友情物語であれば、これが真っ当な表現なのかもしれない。
ただ、のび太とドラえもんの間の「友情」って、そういうのじゃないだろう。と、思っちゃうんだからしょうがない。