1.《ネタバレ》 ビル群を遠景に、英語の格変化を暗唱しながら夕暮れの土手を自転車で走る有村架純を追う横移動。
こういうエモーショナルなロングショットをもっと見せて欲しい。
家の廊下の壁に大量に貼られた学習メモと、それを見つめる田中哲司。
辞書を引きつつ机にかじりついて筆記する有村の後ろ姿。
映画はヒロインらの情緒過多な表情アップに偏り気味だが、そういった顔面に頼らない
ショットでもっとドラマを語れないものか。
ハイタッチやおんぶなど、スキンシップもいろいろと採り入れてはいるのだから、
ラストの手紙のやりとりといった言語的なくどいコミュニケーションも少し控えて欲しい。
ラストの新幹線は、冒頭と中盤の憧憬を語るシーンから繋がるはずだが、
これも効果的な見せ方になっていない。
父母らの芝居もまた情緒過多で、
おまけにBGMのタイミングもショットも台詞もテレビドラマなのだが、一方で
その臆面の無い割り切りぶりがピュアすぎるヒロインを始めとするキャラクター像を
鮮明に形作って心地よかったりもする。