8.《ネタバレ》 気にはなっていたけど映画館まで足を運ぶほどではないよなあということで、飛行機のエンタメサービスで鑑賞。それでも映像の美しさは十分にわかる出来でした。新海監督作品としては「ほしのこえ」以来。「ほしのこえ」はSF設定に純愛メロドラマ的すれ違いを直結させる手腕にちょっと関心した覚えがあり、その要素は今作も健在だったものの、背景でガンガン流れるJ-Popのせいか、より「作品」というよりも「商品」になったなあという印象でした。というか、こうゆう話にドキドキできない程度に、自分はおっさんになったことを実感して、中学生くらいで見たらハマっただろうなあと思いました。あと、残念だったのは、「東京」対「地方」のわかりやすすぎる二項対立の構図。たとえば、「岐阜」と「東京」のあいだには、「名古屋」という中途半端な大都市があって、三葉があこがれる程度の都市生活はそこでも可能なんだけど、「故郷」がなくなった途端に、みんな「東京」に住んでる、っていう設定には、「おいおい、日本には「東京」か「田舎」しかないのかよ」と、愛知県の田舎出身者として感じた次第でした。これは、地方出身者のつまらない愚痴でもあるんですが、同時に、この映画が描いている「日本」のどうしようもない「薄っぺらさ」でもあるように思うのです。消滅する側は地方であり、東京は地方出身者を抱え込んでますます大きくなる。地方は都会人をほっとさせるノスタルジーとしてのみ存在する。たとえば宮崎駿みたいな人たちが格闘してきたものを、いとも簡単にスルーして、この構図をためらいもないまま物語の軸として置けてしまうあたりには、「作品(work)」ではなく「商品(product)」なんだと感じた根源があるように思います。あと、完全に蛇足ですが、上白石さんの声はとてもよかったけど、一瞬息継ぎをしてからセリフを話すアニメ独特の発声法、かなり苦手です。 【ころりさん】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-01-08 12:26:26) (良:4票) |
7.《ネタバレ》 飛行機でみました。なんで映像が綺麗かどうかは評価にははいっていません。 まあ、悪くなかったです。ただ、そんな大ヒットする程面白いわけではないかなと。 この映画が、今、興行収入の記録を更新し続けて、日本を代表する映画になろうとしているのですが、なんかやだな。 まだ、千と千尋のほうが、日本映画といえばといって違和感なく受け入れられる。まあ千と千尋も初めて見た時はたいして面白いと思わなかったが。
この映画は、もしも東日本大震災の津波を予測できれば的なところから、インスピレーションを受けて作られているのかな?という内容でした。 まあ、それはいいんですが、あまりにもご都合主義すぎの突っ込みどころ満載な映画です。 この新海監督の他の作品もそうでしたが、まあ、内容が薄いというか、細かいところを気にしないというか、 絵は凄い細かいところを気にする割に、ストーリーは全く気にしないという感じの人なのでしょう。
まず一番に突っ込みたいのは「君の前前前世から僕は君をさがしはじめたよ」という歌詞はいんですが、探すの遅すぎだろ!! 最初に二人が入れ替わって何をすると普通に考えると、まず、普通はここがどこで自分が誰で、というところを調べるだろう。 まして、この時代がスマホのある時代なのだから、簡単に場所も、時間も全てが一瞬で分かるはずなのだから。 のんびり、知らない相手の学校や、友人関係等の生活を維持してあげてる場合じゃない。
そもそも、私がこの映画を見る前に、違う場所の人間と入れ替わるというストーリーを聞いたとき、お互いを探しあう映画を想像してたくらいなんで。 せめて、パソコンがない時代1990年代前半くらいの設定なら、まだしも、パソコン全盛期、お互いスマホ持ち。日にちすら気にしない。 あまりにもご都合主義過ぎて、ちょっとひいてしまうほどです。
なんで、まあ、ヒットの要因としてはプロモーションの成功という部分が大きいかなと。 アナと雪の女王もディズニー映画としてはたいして面白くないが、歌部分で大ヒットという感じなんで、 今映画がヒットするためにはいかに、普段映画をあまり見ないライトなにわかの人たちを取り込むかのプロモーションが重要ということを改めて感じさせてくれる映画でした。 【シネマファン55号】さん [インターネット(字幕)] 5点(2016-12-07 11:46:27) (良:4票) |
6.《ネタバレ》 うーん…世間の評価が凄いので期待していたのですが、僕には肩透かしという感じでした^^;
昔からある「男女入れ替わりネタ」(主人公の乳揉みは大林宣彦の「転校生」を思い出して苦笑)に、これまたよくある 「自分だけが知っているカタストロフから、それを知らない無理解な人々をいかに救うか」というサスペンス。 今作はそこに「三年間のタイムラグ」という一ひねりが加わっていますが、それはそれで 「入れ替わり中スマホやらテレビやらカレンダーやらで”今”が何年なのか気付くチャンスがなかったのか」とか 「日本中を騒がせた大ニュースと入れ替わり先の地名の関係についてなぜ人に言われるまで思い至らなかったのか」とか 色々な不合理を生み出す要因になったり…
劇中で頻繁にかかる透明感のある男性ボーカルの挿入歌や、登場人物の過剰な叫びは、 「どうぞここで感動してください!」という作り手の押しつけに感じられて妙に興ざめ。
トレースによる緻密な背景は健在ですが、過去の新海作品を見慣れた人間としてはさすがに初期ほどの感動はありません。 やはり実写には及ばず、かといって「美術監督のセンス」というフィルターを通した「味がある風景」でもなく… (超ローアングルの引き戸や自動ドアのショットは最初「おおっ」という新鮮さを感じましたが、あまりに多用され過ぎて ここでも「見ろ見ろ、わしの作品は他のと違って風景の切り口も独特やろ!」と言わんばかりの ”作り手の押しつけ”を感じてしまいました)
あと声ですが…やはり、アニメには本職の声優さんを使って欲しいです。声優ヲタというわけではないのですが やはり「生身の演技」と「声だけの演技」は違うので、やり慣れていない人の”声の演技”は洋画吹き替えにしろアニメの声にしろ どこかぎこちなく感じられます。 (なんでしょうね…”一般認知度が高い男優女優やタレント”が声を演じてないと、アニメ作品はやはり アニメオタクや子供向けの”マンガ映画”として一段低くみられるのでしょうか?)
色々勝手な事を書いてしまいましたが、もちろん、悪い作品ではありません。 ただ、個人的に「素晴らしい映画かどうか」の線引きは 「観ている途中ですでに映像ソフト購入を決意する」「二度以上劇場で観たくなる」の二点なのですが 残念ながらこの作品はそのラインに達しませんでした… 【大鉄人28号】さん [映画館(邦画)] 5点(2016-09-01 20:50:23) (良:3票) |
5. 話題になっているので見ましたが、どうも入り込めない作品でした。 世間の評判がよくても、自分が面白いと思うかどうかは別だと改めて感じました。 【海牛大夫】さん [映画館(邦画)] 5点(2016-12-13 17:27:46) (良:2票) |
4.ド田舎と都会のド真ん中という両極端で暮らす高校生を徹底的に美化した映像で描き、大人にはノスタルジーを、子供には憧れを喚起したところが、大ヒットの理由でしょうか。あるいは話の展開をわざと雑に描き、観客に「?」を持ち帰らせて興味をつなぐという戦略もあったのかもしれません。 しかし個人的には、「大ヒットするほどの作品か?」というのが正直な感想です。別にSFでもオカルトでもいいのですが、そういうものに走る分だけ、リアリティは失われ、ノスタルジーの期待は裏切られます。今や縁もゆかりもない男女がネット上で出会うことは茶飯事です。わざわざSFやオカルトの力を借りなくても、まして歴史に残るような唐突な大規模災害をでっち上げなくても良かったんじゃないかと。終盤は話が大きくなりすぎて、すっかり興味を失ってしまいました。 【眉山】さん [地上波(邦画)] 5点(2018-01-20 02:36:06) (良:1票) |
3.さまざまなツッコミどころは書きだすときりがないのでこの際置いておくとする。しかし実際はそれが気になって映画に全く入り込めなかった。何故か。 それは登場人物達がどうにも薄っぺらく感じられて、思い入れが抱けず、終始どこか気持ちが冷めていたからだ。 この物語の核は「すれ違う二人が必死にめぐり会おうとすること」だろう。 なのに、「最初はいがみあってケンカばかりしていた男女が気付けばお互いを好きになっていた」というありがちな"お約束"があるだけで、「それだけの深い愛」を抱くまでの肝心な"物語"がないのだ。
いったい二人はどうして相手を「唯一無二の、かけがえのない、たった一人の特別な人」と思うに至ったのか。 これといったエピソードもなしに入れ替わりの日々を細切れに見せられただけで、急に「デートのセッティングをしたが何故か泣いている私」に飛び、そして「運命の相手」っぽい展開になられても、まったくついていけないのである。そもそもスマホ日記の短い報告だけで、相手のことをそれほど知れるとは思えない。
ヒロインにやっかみめいた陰口を言うクラスメイトのくだりなど余計だし、父親との確執云々も、避難指示依頼の時の二人の対峙を描かないのならば丸ごと不要だろう(難しいシーンから逃げたようにしか見えない)。 あれもこれもとごちゃごちゃアイテムやエピソードを散りばめて、何となく回収したっぽいように描いているが、重要な(少なくとも自分には重要だと思える)シーンが抜けている。 要するに「それっぽいキャラクター達」が「シナリオ通りに動いてる」だけで、スクリーンの中で「生きている」ように見えないのだ。 それは「こんな状況になったら、普通はこうするだろう」という事をことごとく無視するご都合主義にも表れている。 やはりどうもこの監督とは合わないようだ(口噛み酒や、緊迫したシーンでのパンチラの気持ち悪さも含めて)。 【猫の足跡】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-01-02 01:58:53) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 伏線は全て回収され、観客が観たい映像は全て見る事ができ、物語は全て語られ、「物語=瀧と三葉のセカイ」は円満に収束していく。 物語の謎を徐々に明らかにしていく事により興味は持続し、その中で悲劇の影をチラつかせる事で、ハラハラドキドキする。しかし最後には大団円を迎える。安心感も相まって、そこには大きな感動が待っている。映画を観て観客が味わうべき感情は、最初から最後まで用意されていて、映画を受動的に観るとするなら、これ程素晴らしい映画はないのかもしれない。 作り手は受け手のニーズを把握し、その充足が目的となっている。物語内の登場人物は、瀧と三葉のセカイを理解し、そこに従属しきっている。 BGMは前面に押し出され、物語的山場の連続と、BGMの山場の連続が合致する事で、終盤になるにつれ物語は過剰さを増していく。 その音楽>映像、若しくは互いに競う事なく音楽により映像が飼いならされた関係性は、PV的という事なのか。 抑制や省略より、全てを語り観せる事や、過剰さが、カタルシスをより刺激し感動を産み、感動の為に映像と音が動員され、感動の度合いが評価の絶対基準となり、そのような映画が「名作」となり社会現象を生むのなら、映画は多様性を失っていってしまうのだろうか。 その波に乗れない者は、奥ゆかしさを留めながら、物語のセカイに還元しきられない瑞々しい細部(組紐の艶、行き交う電車、坂という構造が生む人間関係、三葉の祖母と父親の関係)に目を凝らし溜飲を下げるしかないのだろうか。 ただ言える事は、瀧と三葉を同一ショットに収めてしまったことは決定的な失敗であり、喪失と不在を描いた大林監督の「時をかける少女」は尊いということではないか。 【ちゃじじ】さん [DVD(邦画)] 5点(2017-12-16 19:24:52) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 蓋を開けてみれば、未来から過去へ災害を予告して好きな人と町を守る、というよくあるストーリー。 単純なテーマなだけに、もっと工夫ができたのでは?と思う。
例えば、1000年まえに隕石が落ちたときに大切な人を亡くして、深い悲しみと後悔を経験した人が、 二度と同じ悲劇を繰り返さない、と固く決意して作ったのが、 ①男女入れ替わりシステム(糸守町の人間と別の離れた場所の人間の意識をつなぐ)と、②口噛み酒(未来の人間と 過去の人間が交感可能になるアイテム)なのかなと思ったんだけど。
口噛み酒なんてオドロオドロしいアイテムを伝えて、いつ来るか分からない災害に備えて 予防線を張りまくってきたのが代々の宮水家の人でしょ。 念のために長女だけじゃなく妹の分も口噛み酒を用意しておくというリスクヘッジもしつつ。 たぶんお母さんもおばあちゃんも不思議な夢を見てて、そのときは予防線で終わったわけだよね。 その辺も描いたらよかったのにと思う。1000年前からの恐ろしいまでの執念をもっと表現してほしかった。 瀧君のバイトの様子とか削ればいいのに。 あとおばあちゃんは三葉の前世じゃないだろうから、「前・前・前世」じゃなくて「子々孫々」だよね。 ここは大きな間違いだと思う。
あと、糸守を守るために選ばれた男がなぜ瀧君の系統だったのかは分からないけど、 何かしらの理由でこちらも代々使われてきたのなら、 女の執念にふりまわされて、なぜか命がけでこき使われるのはいつの世も男よね…という皮肉な副題も追加できたと思う。
しょせん災害予告して命を救うだけの話なんだから、それだけじゃつまんないから、 この町は昔隕石が落ちてたくさん人が死んだんですよ〜 そんでまた近々同じことが起こって人が死にますよ〜っていう 不吉な空気を最初から醸してればいいのに。1000年前から伝わる少々オソロしいまでの恋人への思慕を オカルトに表現しました、とかならもう少しおもしろかったと思う。
なんかエラそうに好き勝手想像で書いてしまったけど あんまりダメなこと言わないで黙ってヒットさせておけば映画産業が儲かっていいことだとは思うんだけど その数字がイコール作品の価値と評価されて、賞とかもらって箔がついちゃったとしたら、 そこまで価値のある作品かなぁ?と思う。数字と文化的価値は違うように思える。 金返せ、とまでは行かなかったけど、もう少し批判してもいいんじゃないかなぁ。 【ムーンナイトロンリー】さん [映画館(邦画)] 5点(2017-02-02 01:27:14) (良:1票) |