4.《ネタバレ》 刑事ものの導入部分からホラー・ファンタジーを彷彿とさせる不条理劇への移行、
時折挟み込まれるシュール・コメディな演出の数々に、
ジャンルらしいジャンルが分からない唯一無二の雰囲気が醸し出されている。
カリスマという一本の木を巡り、その存在に振り回されていく人間模様。
どの勢力にも属さないアウトサイダーだった刑事がやがて狂気の中心になっていき、
「世界の法則を回復せよ」の問いに対する「ありのまま」の対応は下界にさらなる混沌を巻き起こす。
しかし、しがらみがある以上、誰もが「ありのまま」にはなれない。
それが今の現実で、狡猾な政治屋なり、口が巧い実業家なり、寂しさに付け込んでくる宗教家なり、
彼らに振り回されて疲弊してなんて滑稽なことか。
"カリスマ"とは土壌に張り巡らされた毒そのものだ。
『CURE キュア』をさらに難解にその一歩先を行く世界をラストで描いているわけだが、
"何か"に縋り付いて自由を失った普通の人と、執着を手放しありのままを受け入れた刑事、
どちらが正常でどちらが狂っているのだろうか?
一度破壊された世界に"カリスマ"が新たな秩序を形作っていく。