2.実際の昭和30年代がどうだったかは知りませんが、普通に資本の論理で企業が買収されたり、ホステスのねえちゃんが株で得した損したと騒いだり、気に入らない社員を簡単にクビにしたりと、今よりずっと真っ当な資本主義が描かれていることに驚き。一方、社屋の屋上に全社員が整列して集会を開いたり、無能な社員が組合結成を画策したり、いかにも安普請な文化住宅が登場するあたりは、貧しさと社会主義臭さを感じます。この入り交じり感が、チョンマゲ&洋服姿、あるいは鳥居の奥の寺院を見るような強烈な違和感と相まって、なかなか見ものです。
ストーリーも、それなりによく練られています。少なくとも、『無責任野郎』よりはずっとロジカルで鑑賞に耐えます。