2.《ネタバレ》 コメディのように宣伝されていますが、それほど笑えません。笑いをとろうとしているようではありますが、ほとんど空回り。しのぶの弟との会話はおかしかったけど、この男同士の話だけ。メインとなるクヒオ大佐と女性との場面はダメです。
ダメといえば、人物の掘り下げが全体的に浅い。特にメインのヒロインであるはずのしのぶサンについては、弟がちょっと過去に触れるくらいで、背景がほとんど描かれていません。だからなぜクヒオに惹かれるのか、よくわかりません。この点では、2番手に回った春ちゃん・理香ちゃんの学芸員コンビの方がまだよかったと思います。そしてクヒオ自身にしても、人物像がはっきりしない。終盤回想がありますが、それで「過去を忘れたい男」ということを描けても、なぜ詐欺に走るのかが明確ではありません。そこに至るステップが省略されて、結果だけ出されてもついていけない。
あと、内野聖陽演ずる藤原も、なぜ出てきたのか不明確。途中の高橋に対する台詞などを考えると、あくまで“湾岸戦争当時のアメリカの批判”をやりたかったとも思えますが、藤原の出番が唐突すぎて結びつかず、単なるオマケにしか思えません。それとも、本当にオマケにすぎないのか?
映画の流れもメリハリがついていない(特に前半)。山場もたいして盛り上がらない。制作側は何を描くのか、描きたいのかよくわかっているのでしょうが、見せ方が下手すぎ。もっと観客の立場に立って作ってもらいたいものです。堺雅人はいい役者さんだと思うのですが、これでは熱演も浮かばれません。
主題歌はなかなかよかったし、春ちゃんと理香ちゃんが魅力的だったので、おまけでプラス1点。