2.サクセス・ストーリーの「エリン・ブロコビッチ」とは似ても似つかない暗い映画でした。裁判過程が詳しく描かれ、そこに裁判における戦士である弁護士の本音を垣間見ることができたのが良かったです。ジョン・トラボルタは人も羨む順風満帆の人生を歩んでいるように見えますが、その彼が主演を引き受けたのは単なるエンターテイナーを超えた芸の道を追求するためでしょうか、だったら心から拍手したいです。映画にもなった小説「ペーパーチェイス」の中である法律学生が「商法でAを取らなければ僕らの未来はない。」といった意味のことを言っていました。アメリカでは読んだ契約書のページ数に応じて課金する商法専門弁護士や相談料で食べている家族法の弁護士、事件毎に請負料金を取る被告側専門弁護士などは勝訴の場合以外一切無料の損害賠償請求専門の弁護士を見下す傾向があるようですが、職業に貴賎がないのと同様、弁護士間に貴賎があるはずはありません。トラボルタ扮する弁護士がラジオ出演のシーンで語っているように「人の痛みを自分の痛みとして感じる」ことができる、つまり適性のある弁護士が損害賠償の分野を選ぶのですね。日本も法治国家の名に恥じないよう、複雑な社会に対応して弁護士も法律知識以外の適正や関心で得意分野を持つようにしてもらいたいものです。でもまちがっても「商法の成績が悪かったから・・・。」なんて理由でその他の分野を選んだりしてほしくないです