2.《ネタバレ》 ことB級ホラー界隈においては、上映時間全体の前半分が完全に「捨て」で、話も大して進まないしショック描写も皆無、なんてことは結構ザラである。今作もその例に漏れず、前半ちょうど45分は特に何も発生しない(気味悪い寝たきりババアの描写がちょっと物珍しいくらい)。これがもう少し低級なスラッシャーとかだと、この前半の場繋ぎに安っぽいエロが盛り込まれたりするのだけど、今作ではそれも無い。結果、前半はかなり退屈・モッタリだし、せっかく激マブかつ爆乳という逸材フランス美少女を連れて来たのに、お前ら何年ホラーやってんだよ!と若干イラっとしたのも内緒(決してクロエ・クールーちゃんのオッパイが観たかっただけではありません)。
さて本作、ちょうど45分くらいから怪異が発生し始めるも、更に10分くらいモタモタした後にやっと本格的に動き始めるお話はとゆーと、これまた何だか「思ってたんと違う」怪奇幻想ファンタジックな代物、かつ話に辻褄をつけることをあまり意識していないとゆーか、率直にやややりたい放題なとゆーか。思うに、今作もまた「撮りたい映像が先にあって話の方はこじつけた」類いの作品かと思う(実は)。その意味では、監督ふたりの前作の様な単純明快血飛沫スプラッシュな作品を期待していたとしたら、かなり強烈な肩透かしを喰らう、と言っても過言ではないだろう。
ただ、あくまで私個人としては、そのめくるめく耽美&淫靡&残虐でゴシック怪奇な映像美には意外とわりかし観入ってしまった。なので結論、そんなに悪い作品でもなかったかなあ、というのが正直な感想。ホラーモンスター的なコンセプト、血みどろの白いバレリーナはどことなく『サイレントヒル』を彷彿とさせる様な優れた出来だったし、その他の部分、単純なスプラッタ描写のキレ味も決して悪くはなかった(前述どおり、ちょっとエンジンかかってくるのが遅い→物量的にはやや不足ぎみ、ではあるが)。個人的には少しの意外性・物珍しさも含めて今作決して嫌いではないし、観て損した感も無いと言える。
ただ、バスティロ&モーリーさんよ。あなた方のよーに一度コッテコテのB級ホラーの沼に堕ちた映画人とゆーのは、そこから這い上がれたというのはあんまり聞いたタメシがねーのですよね(ロメロなんかもそーですが、例外はサムライミとかですかね)。こういうちょっと気取ったのを撮るのもいいけど、あくまで観客の観たいモノづくりに徹した方が、後々後悔が少ないかも、なんて思ったりもするのですよ(10年前の映画に対して今更ゆーことでもないかも知れませんが)。