1.《ネタバレ》 前作「屋敷女」で過激な暴力描写と展開に度肝を抜かれたわけで、今作では、どんな地獄絵図を用意しているかと思いきや、意外や意外、所々グロいシーンはありますが、倫理的にも前作と比較にならない程落ちついた印象です。
寝たきりの老婆が住む古びた屋敷に、隠された財宝目当てというおバカな動機で忍び込んだ主人公達に想像を絶する恐怖が待ち受ける、というB級ホラーファンが手拍子で喜びそうなくらい至極単純な大筋なのですが、照明やカット割りなど撮り方が実に巧く、単調ながらも飽きさせない。所謂ゴシックホラーのツボをしっかりと押さえている。
特に、老婆の一人娘アナが人形っぽくカクカク動くあたりがすごく怖かった。
ネタバレですが、この屋敷に住んでいる老婆、あの有名なホラー映画「サスペリア」の某バレエ学校出身というのが判明するんですが、イタリアンホラーの帝王ダリオ・アルジェントの大ファンという監督本人の談話もあり、どうりで雰囲気がそれっぽいと思いました。
技法だけに留まらず、唐突で脈絡のない様な展開はまさにアルジェント流。主人公の介護指導員がいきなり少女を殺してしまう伏線があるんですが、老婆の輸血用?それとも一人娘アナのため?前述、「サスペリア」の伏線もあるんで、この老婆自体が魔女の生き残りなのか?はたまた吸血鬼、別の化物なのか?でもアナは日光を浴びれないらしいとこを見ると吸血鬼なのかな・・・う~ん分からん。ほかにも、一人目の首を切られてしまうシーンで出てきた少女たちは何?生徒たちの幽霊か何か?まぁ結局正体不明で謎のままなんですよね。。それが狙いなのかな??
それと、主人公の巨乳美少女クロエ・クールーちゃん、両目の色が違うという設定で、エキセントリックな雰囲気と相まってすごく良い感じだったんだけど、この子の一挙手一投足が思い切りがいいというか、優柔不断というか、アナと体が入れ替わったのに平然としてたり(普通は動揺しそうなもんですが・・・)、ちょっぴり理解に苦しんですが、可愛いから許してしまう(笑)そういえば、ベアトリス・ダルがこの子の母親役で夢か妄想にでてくるんですが、「屋敷女」の強烈な印象が焼きついていたので、クライマックスで何かあるのかなぁと期待してたんですが何もなくて残念。
最後は、なんともいえない空虚感が漂うんですが、ファンタジーホラーというこの手の作品に相応しい最後ともいえる。