1.《ネタバレ》 コミックなら、体質の変化した主人公の眼光に宿る獣性を描線によって描き分けて
表現するだろう。
映画ではそれを照明効果や、芝居の変化・差違によって表現するわけで、
そのための美術部員であることの設定であり、
バスケットボールシーンの軟弱でぎこちない動きや
恐怖に慄く姿の提示があるのだろうが、そこが具体的な描写として弱い。
なので、単に設定や説明台詞に頼っている感が強くなる。
後半、校舎の高層階から飛び降りるアクションなどももっと突出していい。
主人公らに迫る敵方というシーンも、あと何メートル、、何メートル、、
の説明一辺倒では描写となり様がない。単に意味を伝えているだけだ。
足音なり、影なり、カッティングなりをより駆使してサスペンスを
醸成するのが映画だろうに。
同じモーフィングでも、ジェームズ・キャメロンの液体金属のほうがまだ恐怖感がある。
それと終盤の染谷将太のシーンで、見るに耐えないひどい手ブレショットがあるが、
ああいうのは少なくともNGとして欲しい。
良かったのは、息子の窮地を咄嗟に救う母親の右手だ。
中盤で、無意識的に染谷と腕を組もうとする余貴美子の仕草などが
引っかかってくるのだが、
それらの小さな違和感をラストの際でしっかり感動に転化させるあたりはしたたかである。
剣道や弓道などの伏線の10倍は気が利いている。