6.サミュエル・L・ジャクソンが闘う気満々な点といい、おそらくは「大人の事情」によりムダに東洋人がキャスティングされている点といい、おお、これはまさに『極底探険船ポーラーボーラ』ではないか・・・いや勿論あのヘナチョコ映画が本作に1オングストロームたりとも影響しているとは思わないけど(単位として正しいのかもワカランけど)、それにしても、ヘナチョコとは言えあのヒロイズム、そのカケラくらいは本作に注入してやりたい気がしないでもない。
馬鹿正直にモンスター映画として作品をひたすら肥大化させてしまったピーター・ジャクソン、アレに比べると、確かに本作は賢く立ち回っている気はします。全編がクライマックスとばかり、始終ガチャガチャやっているけれど、要するにこれって、クライマックスが無いのと同じ。ピーター・ジャクソンはジュラシックパークシリーズを叩きのめすべく、馬鹿正直に3頭も肉食恐竜を登場させてキング・コングと戦わせてみせたけど、本作なんて、何も欲張らない、何も気負わない、ただ、巨大コングをお披露目すればそれでよし。物語も、本作を通じて結局、何も起こらなかったに等しい。そう、次に繋ぐための、あくまで序章なんです。ってな感じ。
ヒロインに対するコングの態度も煮え切らない。けど、こういうシーンも一応、入れときましょう、ってか。
ってなワケで、どうしても感じてしまう出し惜しみ感。カッチョいいシーン、迫力あるシーン、それなりに楽しめるんですけどね。ただそれが、ほどほどのところでとどめられ、表面的にただ並べられた感じ。エピソードが有機的に絡みあっていた『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』の、いかに素晴らしかったことか(そりゃチープだけどさ)。
たぶん、これはたぶんだけど、本当はもっといろいろと怪獣映画としてのアイデアがあるにも関わらず、シリーズを念頭に、ちゃっかり温存してるんじゃないのかね。
もしそうなら、商売っ気があり過ぎ。もしそうじゃないのなら、次が本当に心配。