1.《ネタバレ》 これと『エルカミーノ』を見る為にNetflixを契約しました。スコセッシ監督の『マーベル作品に対するディス』が話題になっていたので、どんな風に『真の映画らしさ』を見せて(魅せて)くれるのかなと思いながら見ました。退屈でした。『沈黙』のレビューに書きましたが、個人的にスコセッシ監督のおとなしめの作品は苦手で、やはり僕は『グッドフェローズ』や『ウルフオブ…』みたいな作品が好きなんです。凄く速い展開でこちらの心を掻き乱してほしい。そういう作品にしないのなら、デ・ニーロが映画のフィルターを超えてこちらに話しかける様な『中途半端にエキセントリックな表現』はノイズにしかならないと思います。仮に『ゴッドファーザーPART II』にそういうシーンがあったらどうでしょう。私達に向かって年老いたマイケルが、湖で〇〇を殺したくだりを語ってきたら僕は嫌です。とはいえこの映画が退屈な理由はそこではありません。本筋とずれてしまいました。スコセッシ監督の特徴は『突き放した、淡々とした語り口』だと思うんです。その語り口を長い映画で行う場合、本作や『沈黙』の様なおとなしい作品だと抑揚が無く、退屈に感じてしまいます。これをエキセントリックな演出でカバーしているのが『グッドフェローズ』や『ウルフオブ…』だと思っています。ユニバース化して膨れ上がったマーベル作品を「まるでアトラクションみたいだ」と切り捨てるならば、3時間を超えるだらついたものではなく、いわゆる一般的な『映画』のイメージにあたる2時間の枠にきっちり納めて大傑作を作って「俺が作ったこれこそが『映画』なんだよ!」と言ってくれ、と思ってしまいました。