1.《ネタバレ》 我々が通常、星と呼んでいるものは、自ら輝く恒星のことだ。太陽に照らされて光っている月は、所詮太陽の光が届かなければ、見えなくなってしまう。ノーマンに見出され、彼がいたから輝いていたヴィッキーは、いわば月のようなもの。ノーマンを失って、それでも(彼のためにだとしても)舞台に立つことを選んだ瞬間、ヴィッキーはほんとうの意味で、自ら輝くスタアとして誕生したのだろう。
…なんて、書いてみたが、ちょっと違うな。自分としてはそのように解釈したから、一回すれ違うシーンなどはカットのままで良いと思ったし、途中冗長に思えたシーンも多々感じられた。でも、この映画は多分、主演女優の実際の境遇をダシにしつつ、人気の上り下り交差する映画スター夫婦の悲哀と愛を、描いているのだろう。でもだとしたら、『スタア誕生』というタイトルは何?と思わざるを得ない。
正直言うと、ジュディ・ガーランドの歌は聴かせるものだとは思うけど、どう展開したいのかよく分からないメロディラインの曲、(これは、この時代の映画ミュージカルの常道なのかもしれないけど)ストーリーの根幹とは関係ない部分の歌&ダンスシーンには、あまり楽しくノルことはできなかった。先に書いたように自分はヴィッキーはトントン拍子に出世しちゃっていいと思っているので、もっと切る所切って、最大限妥協しても2時間20分くらいでまとめたほうが良かったと思う。