7.まず三島由紀夫を敬愛してやまない私にとって、このキャスティングにがっかりしたものだ。でもそこは三島ファンとしてみずにはおれない性・・・。
観終わっての感想は『ツマブキ君、予想外によかったやん!』というものだった。
彼は声がいいですね、顔はお目目ぱっちりのアイドル顔そのものなのですが
声が低めで渋い。そこでかなり救われたと思います。
惜しむらくは高岡君の’本多’です。『豊饒の海』全4篇の傍観者として
存在感をもっと出さないと。
ここでの本多は、飽くまで<主人公の親友>の域を出ていません。
監督の指示だとすれば、監督は『豊穣の海・全篇』を撮る気はないと見た。
清顕・聡子ともに、そんなに好きなら素直にくっつけばええやんか・・・というわけに行かないのが三島作品の三島作品たる所以であり、この辺の機微は原作も読んで鑑賞した方がわかりやすいと思う。