3.この映画はタイトルが無いですね??Hilary and Jackieというのは3節から成る本作の第1節のタイトルとして出てきますが、映画全体を通してのタイトルは提示されなかった記憶が。それはよいとして。「『おもちゃの交響曲』の作曲者は?」「ハイドン!」あれ、正解はモーツァルトのオヤジさんでは?ああ、昔はハイドン作と言われてたのね、ナルホド。しかし、フルートやってるヒラリーが演奏会に出てくれと頼まれるシーン、曲目はズバリ一言「バッハのロ短調」。これはちょっとマズくないかな。管弦楽組曲第2番も確かにロ短調の名曲だが、フルートソナタにもバッハ屈指のロ短調の名曲が。あと、グラスを叩くリズムで曲名を当てるゲームのシーンでも、正解は「ドボルザークの『謝肉祭』」だと言うが、どの辺が『謝肉祭』なの?デタラメにしか聞こえなかったけど。 さらには、ジャクリーヌの活躍を伝える日本の新聞記事。関係ない記事に写真貼っただけ。日本人はこの映画観ないとでも思ったのか? どこまで真面目に作った映画なのか、だんだん疑わしくなってきちゃった。まあそんなイジワルはともかく、見どころさえ多ければいいんですが・・・特に幼少期あたりは描くべき事をテンポよく見せてくれて、これは良さそう、と思ったのに、つまらないテクニックに走って、取ってつけたようなカメラワークが鼻につく。特に途中の8mmの挿入なんて、こりゃあなんとも不自然。結局、ちょっと体裁を繕ってみせただけで、ただの暴露映画以上のものではないんじゃないの(それもかなり誇張と虚構を交えているんじゃないの?との疑いが)。とまあボロクソ書いた割には、最後の方では感動してしまったのですが、やはりこれは観ている背景に、若くしてMSに倒れた、まさに「本当」のジャクリーヌ・デュ・プレに対する想いがあり、また彼女の演奏したエルガーのチェロ協奏曲への想いがあり、映画をキッカケにしてそれを想起せずにはおれないからでしょう(恐らく晩年の病状はこんな程度では済まなかったんじゃないか、という気はしますけど)。なお、彼女の「ダヴィドフ」はその後、ヨーヨー・マの手に渡ったんだとか。