2.そうか、このシリーズも最初のころは加山雄三オリジナル曲を歌ってなかったんだ。まだ東宝は彼にそういう才能があるのに気づいてなかった。タイトルのときに、なんかマヌケな感じのコーラスが流れて驚いた。中で加山が歌ってるのはドドンパだったし。60年安保の翌年の学生像と見ると、かなり落差を感じるが、案外大多数の学生はこんなもんだったんだろう、またサイレント時代の鈴木伝明などの大学生ものからつながっている伝統のジャンルの型だからしょうがない。もっとも戦前は学生ってのは尊敬される特殊な階級だったから微笑んでヤンチャぶりを見られたんだけど、時代が近づいてくるとちょっと微妙にはなる。レジャー産業が学生に標的を定めだしたころ。上原謙に「いまどき珍しい好青年だ」なんて言わせる楽屋落ちもあった。団令子が「MMK」と言うのは「もてて・もてて・困っちゃう」のことだそうだ。時代を懐かしむ材料として以外にはつらい作品で、唯一見せ場になりそうだったのは水泳大会リレー会場へ駆けつけるシーン、あそこは走りながら脱いでいって、そのままタッチと同時に止まらずに飛び込む、ってのが映画としては正解であろう。へんにリアリズムにこだわってはいけない。