11.《ネタバレ》 松本サリン事件。第一通報者が疑われ、まるで犯人と決めつけるように過熱する報道の裏で一体何があったのか。
歴史に残る重大な事件を扱う社会派の作品として第三者の目を通すにしても、もっと徹底的に硬派な作品であってもよかったと思いますが、
その第三者の目をこの事件の背景を取材する高校生に置いたことで、想像していたよりもマイルドな作品となっていました。
それでも警察の捜査のあり方、それを伝える報道機関のあり方に対する問題提起としては十分であると思うし、
終盤に挿入される、事件当夜の再現も十分すぎるほどの凄味がありました。
警察の捜査の方向性や過熱する報道に一般市民や社会全体が流されていく。冤罪への流れが加速していく様も丁寧に描かれているのですが、
事件を振り返る地元テレビ局の面々と高校生との絡みと、事件当時の再現ドラマとの間に微妙な温度差が出来てしまっているのが残念なところです。