1.《ネタバレ》 タイトルの『69』。この数字が意味するのは“相互サービス”。ギブアンドテイクと言い換えてもいいでしょう。市民ポリス制度における奉仕者のギブとは、治安維持のための労働力提供。対するテイクとは、“公権力を行使する快感”と解します。覆面を被る匿名性と公務執行には、“己が責任を問われない”という恩恵が付いてきます。ここがポイント。日々様々な形の責任というストレスに苛まれている大人にとっては、この上ないご褒美。ある種のやりたい放題。ちなみに女子高生たちがコンビニ強盗を平気でするのは、責任を取る気が無いからです。ですから責任を全うしている善良な市民ほど、公権力という最強の後ろ盾の魅力にハマるのは理解できました。69号や64号は、身の丈に合わぬ力に狂わされ暴走したのです。やっていい事と悪い事の区別が出来なくなる。それは彼らの膀胱のように、始末が悪いものです。ドイツ映画es[エス]でも描かれていますが、自分の価値基準を放棄するのは恐ろしいことです。自分が自分である事を辞めるという意味でもあるのだから。おバカコメディや純愛ストーリー要素にカモフラージュされているものの、物語の本筋は多分こういう事かと。意外とテーマはシリアスでした。テンションが低いというか、シュールというか、結構クセのある笑いは、一般ウケは厳しいと思われます。でも清水章吾にアイフル犬なんてギャグ、自分は一周してアリだと思いました。感性がオッサンですね。黒髪ロング+女子高制服というDVDパッケージで、栗山千明とばかり思い込んでいたため、早見あかりが出てきてビックリ。このへんもオッサンですね。『ウレロ☆未確認少女』で早見の美女ぶりが気になっていたところなので、嬉しい誤算ではありましたが。(以下完全な余談)何気なく動画サイトで『ももいろクローバー』を検索し、そのステージを拝見しましたが、パフォーマンス力に圧倒されました。『キック・アス』のヒットガールに勝るとも劣ら、いや勝る衝撃でした。遅ればせながら、早見あかりとももいろクローバーをこれから追います。早見の「狙い撃ち」…命中ですっ!